RADIOCLUBリーダー内田は物静かな男に見える。
話し方も紳士的で言葉をきちんと選んで話す。実際は話す声が小さいわけでもないし、冗談を言って笑ったりもする。しかし、印象がどこかクールなのだ。
そしてそれは熱い何かを秘めたクールさでもある。
RADIOCLUB、彼らは決して物静かなバンドではない。ラウドなドラムにベース西原のうねり、ギター金森の鋭いカッティング、内田・西原のカラフルなボーカルワーク。しかし、激しい演奏の中に選びぬかれたアレンジや楽曲がきちんと存在するのだ。
ステージに現れたRADIOCLUBは一瞬で空気を変えてしまった。THISTIME RECORDSが一バンド目に彼らを選んだ理由が良く分かる。”OK
JONES”で始まったこのイベントは素晴らしい夜になることを確信させてくれた。
RADIOCLUBはクールなバンドだと思う。しかしそれは熱い音楽への思いを秘めたクールさだと思う。
2番手ミーニーザー。
4バンド中の出演で行けば起承転結の承に当たるはずだ。しかしそんな事はお構い無しにぶちかましてくれた。エモーショナルという言葉がしっくりくる。
SHELTERというライブハウスは経営者の意思とは別にその音と雰囲気によって出演するバンドを選んでいる気がする。「演奏がうまい」とか「曲がいい」という以前にある種の「熱さ」を持ったバンドのみがあのステージに「映える」。
元LIFE BALLの平野が率いる ミーニーザー。彼等は間違いなくSHELTERに「映える」バンドだった。
汗まみれになりながら、搾り出すエモーショナルな楽曲。見た目とは裏腹にビートルズを感じさせるような絶妙なコーラスと繊細な曲すらもまた彼等の持ち味だと思う。
彼等の熱い想いがこの日のお客さんにしっかりと伝わったのではないだろうか。
レーベル主催のイベント、そんなお決まりの雰囲気に包まれることを期待していた予想はあっさりとそして良い方へ裏切られた。
今まで何度もスカイビーバーのライブを見ているが、正直SHELTERというハコで「映える」事ができるのか確信が無かった・・・・演奏が始まるまでは。
野生のビーバーは小さい体を使ってコツコツとダムを作り、いつしか大きな河をせき止めてしまうという。いつしかスカイビーバーは4ピースのがっちりとしたバンドに成長していた。
ゆっくりとステージに現れたビーバー達はどこか妙に落ち着いているように見えた。
やや押さえ気味にに始まった演奏は研ぎ澄まされたステージングを感じさせ、2曲目へとなだれ込んで一気に爆発した。この日一番の盛り上がりを見せた瞬間だったように思う。
ややモッシュ気味の客席であったが嫌な感じは全くなかった。客席の盛り上がりに応えるように、熱いステージを見せてくれた。
実に2ヵ月ぶりのライブとなるBROKEN SPACE。
「季節に一回しかライブをしない」と言うマイペースな彼等を心待ちにしているファンがステージに詰め掛けていた。
BROKEN SPACEは前3バンドとは明らかに違う雰囲気を持っている。リズミックでソリッドな岩原のギター、寺田のタイトなドラム、ベース深水の考え抜かれたベースライン。その上に伸びやかなメロディが乗ると、緊張感と温かさが同居した「特別」な音が流れ出す。ライブの本数とは裏腹にしっかりとした演奏を聞かせてくれた。
フロントマン二人が作曲も出来るこのバンドの楽曲は一見シンプルで聞きやすいが幅広いバックグラウンドと、音楽への深い愛情が感じられる。POPでかつ鋭い2面性を持った楽曲が聞く者の耳に突き刺さる。帰り道にふっと口ずさんでしまうのはきっとBROKEN
SPACEの曲なんだろう。
UNDOALL、SWANSONG。ライブが進むにつれて会場は笑顔で溢れ、新曲SARAD DAYSで最高潮を迎える。THISTIME
RECORDS PRESENTSのトリにふさわしい心に残る演奏を聞かせてくれた。
また夏に見に来なければ。そう思えるライブだった。
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