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10月24日に江古田FLYING TEAPOTでThistime Recordsプレゼンツ企画”Frinedly Match”が開催された。これは肩肘の張ったかしこまったイベントでなくThistimeファミリーの新たな一面を楽しんでもらうといった趣旨のイベントであり、カフェ仕様のセット(若干エレクトリック)ながら多くの人が集まってくれた。(Shiho Kawasaki)
出演:Captain August / Lemon Tea / Totos / Farmer
撮影:Yoko Tanahashi



一番目はCaptain August。現Brokenspaceの寺田を含む4人組。
おそろいのTシャツにでこぼこないでたちがなんともカレッジギターバンド風だ。それもそのはず、メンバー全員が同じ大学のサークル仲間でありかつては様々なバンドで活動していたという話。

今回結成後はじめてのライブながら、バンドからは緊張するよりも演奏を楽しもうというリラックスした雰囲気が伝わってきた。最初の出番ということで会場のざわつきがおさまらない中、まさにフレンドリーマッチな演奏でイベントを彩り始めるCaptain August。

ちなみにイベントの中で唯一、日本語歌詞で唄ってるバンドだった。日本語詩ながらTFCなど90年代初頭のUKギターポップ的エッセンスを強く感じさせるのは彼らのやってきたバンドの影響だろうか。ボーカルのヤナセがアコースティックギターを高く構え歌いだすと続いて軽快でPOPな演奏がかぶさってくる。ヤナセの実に憎めないメロディーライン。

元Farmerの松井の透明感のあるコーラスはFarmer時代とかわらず繊細で美しい。見かけと違って・・というのはもはや本人も聞きなれた言葉だろう。ハタノはなんだか控えめな存在に終始していたが確実にバンドのサウンドを導くフレーズを作り出し。高いテクニックに裏付けられた確かな演奏力を披露した。現Brokenspaceの寺田はだいぶ演奏前にアルコールを摂取したようで笑顔がたえることはなかった。会場に入ってきた人たちをフレンドリーマッチ色に染めたのはひょっとすると彼の笑顔かもしれない。

とても楽しそうである

自分らだけでなく聴いてる我々もとても楽しい気分になる。ハタノが作曲した曲『情熱ノ日々』ではハタノ自身がメインボーカルを取った。何も変わることもなく他の3人がサポートする。 やはり楽しい。

マイクがなくてもおおきな声でにこにこしながら歌ってるテラダの姿がとても印象的だった。






二番手にはなんともふざけた名前のThe Lemon Tea。
Skybeaverのベース安井とギター古市のネオアコースティックDUO(だそうだ) 。聞けば名前の由来はSkybeaverの練習時にいつもレモンティーを飲んでいるところから来ているとか・・・。
アコースティックギターと歌のみのスタイルという事以外には何の情報もないままお披露目ということでしたが、すでに会場の外(!)でのリハーサルを目撃した人もいたらしく、曰く、ビール片手の野次馬三人組に「もう1曲やれよ」とけしかけられ古市のギターと安井の美声が秋の夕焼け空に鳴り響いた」とのこと。

そして本番。カバーソング、ミスチル&桑田の”奇跡の地球”を歌いだすとすでに観客は「笑っていいんだ?!」という雰囲気に変わり会場があったまり始める。Brokenspace深水とSkybeaver藤澤がアコースティックDUOを組んだ際にも見られたように”本気でやり抜く”のがTHISTIME変則ユニットの基本らしい。しかし続いたのはSkybeaverの名曲”I Guess”。あっさり笑う準備が出来ていた客を裏切る。切ない歌声と独特のコード感がアコースティックセットでやることによってより鮮明に聞こえてくる。いい曲だ・・・・。

静かに、そして真剣になった皆を見回して3曲目を歌いだす二人。・・・・・・Mr.Bigの”To Be With You”。出だしからすでに会場は笑顔に逆戻り。一聴してわかる攻撃力はまさに選曲の勝利だろうか。あのギターフレーズも元メタルキッズ(今もらしいが)の古市からすればまさにお手の物。ボーカルのみになるハイライト部分では安井がスタンディングで客に手拍子を促すシーンも。最初はやや緊張していた感のある二人だったが砕けた雰囲気に誘われるようにどんどん大きな揺れを作り出していく。もしかしたらこの日一番大きな歓声を受けたのは彼らかもしれない。

臨時に組んだとのことながら彼らの演奏は(歌は)群を抜いてうまかった。上手いだけならただのカラオケなのだがレモンティーがそれらと違うのは演奏すること、歌うことを心底楽しんでいたからではないか。

50人あまりの聴衆を前にしたライブでも、数名の野次馬相手の路上ライブでも、レモンティーは何も変わらず同じように演奏していた。照れた仕草を何度も浮かべながら、何より彼らが楽しそうだった。

「今日で解散します!!」と冗談で笑いを誘っていた彼らだが「もっと見たい」、「また見たい」と思ったのは決して私だけではなかっただろう。






三番目に登場したのは成長著しい5人組バンド、Totos。
Brokenspaceのベースプレイヤー深水を中心にカーブの渡辺、Onomaの関戸ら超強力なメンツが揃い、よくあるお遊びプロジェクトとは一線を画している。
彼らの武器は多彩な曲であり、またメロディが素晴らしいところにある。そのため楽器を十分にならせないカフェステージであってもストレートに観客の心を掴んだようだ。

Brokenspaceでもボーカルをとる事がある深水は丁寧に時には大胆な抑揚をつけて歌う。そこにさらに3人(渡辺、田村、関戸)のボーカル、コーラスがかぶってくるのだからスローンも真っ青のギターポップ殺人である。

特に紅一点である関戸の澄んでいて存在感のあるコーラスは今後彼女がボーカルをとるような曲が増えることを予感させた。また渡辺も田村もボーカルをとれるという贅沢な悩みを抱えているようだ。


この日の会場、FLYINGTEAPOTとTotosは相性が非常に良かったようで音数が多いにもかかわらずそれぞれのパートがバランスよく主張しあっていた。

ハイライト曲である”Matsudo”で一斉に入るところ、新曲の出だしなど、音自体は決して大きくないにもかかわらず一瞬にして穏かだったカフェの空気を掌握してしまった。かと思えば”Lispon”では一転おもちゃ箱のようにカラフルな雰囲気に。彼らの代名詞となりつつあるオムニコードをフューチャーしたサウンドが効いているからだろう。

またドラマー横尾のフリーキーでエモーショナルなドラミングは確実にバンドの高揚感を加速させている。気持ちを前面に押し出しながらも締めるところでは冷静であり、彼が加入したことでTotosが一段上のレベルに達しつつあることはこの日のプレーを見れば一目瞭然だろう。

最後は昔からともにバンドをやっている深水と田村のデュエットでしめることに。他のメンバーがステージから降りると残った二人は中央で肩を組む。披露されたのは60年代のソウルボーカリストOtis Reddingの代表曲”(Sittin' On) The Dock of the Bay”のカバー。

深水がオムニコードを、田村がボーカルをとると自然と拍手が沸きおこった。

気持ちよさそうに歌う田村と居心地悪そうに弾く深水の対比は直球でありながら嫌味にならない彼らを象徴しているようだった






Flying Teapot。若干興奮している癒すかのような店内の乳白色の照明。
そんななか、トリであるFarmerの演奏が始まった。
先日よりベースにチバが加入し、矢部はベースを本職であるギターに持ち替えている。4人になったことで自由度が増しバンドの芯がより強固なものへと変化してきているようだ。
千葉はルドルフシュミットではギターを弾いているし、ドラムの屋代もサラダバーではギターである。メンバー全員がギターやベースを操るという点でも現在のFarmerは興味深い。

楽器の準備をしながらメンバーやお客と談笑。特に緊張した様子もないライブへの入り口はとても落ち着いている。だが一瞬の静寂とノイズから演奏をはじめるとその圧倒的な表現力は瞬く間に店内を席巻した。

3人から4人になったことで確実に演奏の厚みが増し、鈴木も負けじとあの声で名曲たちを歌い上げる。それにつられるように観客も彼らに見入っている。ここがカフェであることを忘れているかのようだ。 手に持ったお酒もひざの上から動かなくなっていた。

一緒に共演した面々も最前列で演奏に入り込んでいた。CaptainAugustの面々はFarmerとも親交が深く、加えて松井と寺田は元Farmerである。

あるものは手でリズムを取り、あるものは口ずさむ。曲が終わった瞬間「ハッ」とするように笑顔に戻って拍手する。そんなFarmerへの愛と期待にあふれる姿が何よりThistimeのスタッフ一同には嬉しい。

流れるアルペジオ、体を包むベース、打ち付けるドラムが渾然一体となって鐘の音に。繰り返される気持ちのよいフレーズが次々と流れ込んでくる。ボーカル鈴木の優しい声に聴き入るにつれ懐かしい感情がこみ上げてくる。

見えてきたのは澄んだ風景・・・・・。

ギターポップを定義しようなんてくだらない事だが、これはギターポップだ。間違い ない。

少し興奮して、ビールが回ってきた頭に、"Tower"のフレーズが聞こえる。 もう、やばい。
せつなさを内包した疾走。僕らが今聞きたいのはこれだ。


乾いたのどを潤す水のように自然に流れ込むメロディーがぐるぐる回る。

流れ出したfarmer。
受け止める自分。

ありがとう。
”THISTIME NIGHT”
現在企画進行中

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